ま総研2000(まどの総合研究所ver.5.1)

みんながみんなその物事に興味があると思っちゃいけないよという精神で綴る備忘録

入り口システムと「きんもーっ☆」状態(過去記事地獄)

   

今回も気ままに過去記事発掘の回。前のブログで書いていた、
「ファンの深みにはまっていくことに対する閾値」(2007年9月19日投稿分)を加筆修正といいつつ、かなり書き加えたものとなる。

加筆したことによって、この話の内容は、ファンであってもいいけれど妄信的すぎるのはいかんよねという、私の思想が多少反映されたものへと変容しているのだけれど、まあいいや。

なお、この記事が投稿された時点で元記事は消滅する。ってことで開始。

グループに気になる人がいるという現象の具体例

2007年ぐらいといえば、ACとNHKの共同キャンペーンにおいて、Perfumeが出ていたころである。当然、そのころなんて、何者なのかは知らない。でも「名前は知らんけど、ショートの子が気になるわあ」と思っていたものだった。

と同時に、あのキャンペーンって、リサイクル話よりも、ただの曲(ポリリズム)の宣伝ちゃうんかと思ったのはいい思い出なのはさておき…

その1つ前ぐらいの共同キャンペーンには、3つのRで地球を救えだかなんだかでAKB48の中から5人が出ていた。「名前は知らんけれど、ショートの青い服の子が気になるわ」と口走っていたことを思い出す。

ただのショート好きなだけやんというのはさておき…

ファンへの入り口システム

この「なんだかよくわからないけれど、ぱっと見でグループの中に1人気になるやつがいる」という、いわばファンへの入口システムは、当たり前のように使われているけれど、よくできたシステムだ。

この入り口をきっかけにして、「じゃあ、この子の名前を調べてみよう」という閾値を突破しちゃえば、もう、その時点で目的の半分は達成している。

調べようという行動の時点で、たとえ1分1秒であっても、「その子のことを知りたい」という衝動を持たせることによって、その人の時間を奪っているわけなのだから。

で、この調べてみようの壁を突破したのちに、「こんな活動しているのか…」だとか、「そういえば、この子だけじゃなくて、こっちの子もよく見るとアラいいですねー」ってな具合にどんどん広がれば、新たな世界の玄関チャイムを押す直前。押せば命の泉沸く。沸いてくるのは知識欲。欲が増しましマセマティカ。増してくるのは体重か。体、重くて抜け出せず。抜け出せないのは蟻地獄。

ああ、可哀想に蟻地獄にはまって、どんどん時間もお金も脳みそも吸い取られてしまうのですね。

入口システムの急所

入口システムは、言ってみれば、アプリ蟻地獄システムとそう変わりはない。無課金で人を集めて、その1%でも廃課金ユーザーになってくれれば万々歳という形とだいたい同じようなものである。

さて、世間という名の怪物が、何かのファンに対して「きんもーっ☆」と思うときというのは、ファン同士の内ゲバ現象が垣間見えたり、その世間とファンとの乖離があまりにも大きいときである。

フラットな立場にたてば、同じグループにいるもの同士なんだからライバルであっても敵ではないだろうになんだこのファンどもは…とか、他に色々といるのになんでこんなのが人気なんだ、なんだこの(自粛)専どもが…という思考になるからねえ。

こんな深みにはまりたくないよねーという土壌ができてしまうと、入り口システムを作ってみたとしても、その入り口から先に進もうと思う人が減ってしまうのである。

ということで、このブロックからは加筆部分になる。

この入口システムには弱点が3つある。

この3つは、おそらく1つ目は、入り口の時点でそれ以上進めないという上記の話とは別の話なんだけれど、他の2つは、その「きんもーっ☆」状態をつくってしまいかねない問題でもあり、ほぼ確定的に生じてしまう問題かもしれない。

その入り口の1人があまりにも突出している場合

「グループの中に1人気になるやつがいる」のその1人があまりにも圧倒的すぎると、某映画評論家のごとく出口が入口状態になってしまう。

少なくとも、パッと見で2着、3着ぐらいまで票が分かれるぐらいにしておかないと、ハナから1人で活動させてやれよという風になる。そのさじ加減は非常に難しいだろう。

ひいきの引き倒し現象

無事、その入り口システムの終点であるところの蟻地獄モードまで持って行けたとしても、ここで困ったことが起きてしまう。

蟻地獄に引き込まれた者には、個人の感情と世間の反応とを別のものとして判断しづらくなるという呪いがかかってしまうのだ。これを、俗に、ひいきの引き倒し現象という。

たとえば、状況判断能力に乏しい人や、なんなら、そもそも会話のキャッチボールすら怪しい人をトークが上手な扱いをしちゃう謎現象に遭遇したことはないだろうか。

外からみたら、欠点は明らかなんだからスタッフもちょっとぐらい指導してやれよとすら思うのだけれど、近ければ近いほど、それが見えない。

というか見えているんだけど、見ないようにしているという状態になってしまう。なんなら、明らかに出来ている方の人を叩き出すなんて動きが出てきたりしちゃうこともあったりする。

それを見て、外にいる世間という名の怪物は、当人の能力がどうとかというよりは、蟻地獄にいる側に対して「きんもーっ☆」状態になっていく。ここまで価値判断が鈍っちゃうようなもんには関わりたくねえなと。

ひいきの向こう側にある入口システムのぶち壊し行動

さらに面倒なのは、ひいきの引き倒し現象の延長線上にある。

世間の反応における入り口は圧倒的にこっち側なのに、別の側を入り口にしろと言い出す現象である。なんなら、貴重な金ヅルである蟻地獄にはまった側の声を拾い上げて、そっちを入り口にしちゃうという、なおさらわけのわからない現象すらも出てくる始末である。

いやいや、アンタらが魅力だと思っている部分は、ある程度、中の状況を知った段階じゃないと届きませんよと。入り口はそれでいいんだから、きたるべきときのための準備をしておいた方がいいですよと。

なんやかんやで、世間様は、蟻地獄側に対して「きんもーっ☆」状態になっていく。ここまで判断能力が鈍るようなものに関わりたくないよねえと。

適当な締めの文章

入口システムは、世間という名の怪物とその向こう側の蟻地獄との接点の1つである。

その蟻地獄サイド、いわば、閾値を超えて深みにはまっちゃった人たちはどうしても「みんながみんなその物事に興味があると思っちゃいけない」という部分をどうしても忘れがちになる。先鋭化しすぎた結果、世間との乖離があることすらわからなくなりがちになる。

かといって、その蟻地獄側のファンに罪はないだろう。そこに落とし込んだのは、システムを作った側なのだから。

せめて入口システムを作る側は世間に寄り添う前提のもと、蟻地獄サイドの声もちょっとは聞いておくぐらいのスタンスでいないといけないのではないのか。

ただ、これは将来の先細り現象を起こしたくないのならという前提条件が入る。なので、焼畑を繰り返して、ぺんぺん草一本も生えないようにするという意志のもとなら、もう、じゃんじゃん蟻地獄の人間を吸っていけばいいんじゃない。

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